◆【解説】お金を払うので原油をもらってください!先物マイナスから見る相場への影響
WTI原油の先物が市場初のマイナスを記録しました。「お金を払うので原油をもらってください」という状態なのですが、これが意味する事とは?今後の相場も含めて解説してみたいと思います。
WTI原油先物とはアメリカの原油取引
WTIとはWest Texas Intermediateの略で、主にアメリカで取引される石油価格の事を指します。
原油価格は「ニューヨーク原油先物」「ブレント原油先物」「ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格」が三大指標となっているのですが、「ニューヨーク原油先物」がWTIの原油先物だと思ってください。
ちなみに、日本を含むアジア諸国では中東からの輸入が多いので影響が大きいのは「ドバイ原油・オマーン原油のスポット価格」となります。
WTI原油先物価格がマイナスとは何か?
今回、WTI原油先物価格がマイナスとなっている事が市場で大きな話題となっているのですが、これが意味する事はTwitterの先人がわかりやすく解説していますので参考にしてください。
コロナ禍による需要減により原油がダブついて期近(5月限月、21日切り)の先物を売って期先を買い直す動きで先物価格が暴落したカピ。米国のオイルタンクがパンク状態で原油を誰も保管できないので受渡し権利の押し付け合いになってお金払ってでも相手に…となったカピ(尚説明のため簡略化しました。)
— ストゼロちゃん (@sutozerochan) April 20, 2020
商品先物取引を買うという事は、期限までに反対売買しない場合はその分の現物(ここでは原油)を受け取るという事なんですね。
通常であれば、0円で原油を受け取る事ができるのであればみんな喜んで貰うはずです。
原油の販売価格-原油の仕入れ価格-原油保管料=利益>0
となる訳ですから、原油の仕入れ価格が0であればそれだけ利益が大きくなるはずですからね。
ですが、新型コロナでみなさん外出を自粛しており原油がかなり余っています。アメリカのタンクは満杯となっており保管する場所がありません。もちろん、多額の支払いをすれば保管する場所は作れるでしょうが、今回の場合は、それでも値段がつかなかったという事は、
原油の販売価格-原油の仕入れ価格-原油保管料=利益<0
つまり
原油の販売価格-原油の仕入れ価格<原油保管料
という事になります。それだけ原油の保管場所がないし、将来的に原油消費の回復が見込めないという事ですね。
これが、原油先物取引がマイナスという事の現物市場の状況の解説になります。
ちなみに、保管先に余裕のある中東ではこのような事になっていません。という事で、日本のガソリン価格が大幅下落という事には残念ながらならなそうです。
WTI原油先物価格は今後も荒れる?
ただ、これはあくまでも先物価格の話です。先物には期限があり、5月限に関しては「保管場所がない」「原油消費増が見込めない」為、期日を前に投げ売りがでたという事になります。
金融商品ですので、現物の需給面を考慮しないパニック売りもでたと思われます。
チャートを見るとわかる通り、期先に切り替わったら価格も大きく戻しています。「流石に原油消費が戻る」という事ですね。
更には今回の件で人は学びますので、先物の取引自体が減少すると思いますのでこのような異常事態は6月限では起こらないでしょう。
今後は「市場の想定より原油消費の伸びが多い場合に原油価格が上昇しやすくなる」という事態になると考えています。
それでも下落する原油価格を見るに株式への影響大
ただ、チャートを見ると本日から始まった期先の取引も下落し始めています。現物の需給面で考えれば「原油消費の回復が望めない」という事になるのかと思います。
が、今回は違う側面があると思います。
先物取引は現物価格を安定させるために本来存在します。しかしながら、金融商品としての性格を強く捉え先物取引を運用対象とするファンドも多数あります。
このようなファンドは自身の投資分を失わった訳です。つまり、多大な損失がでたはずです。
ファンドの運用が困難になるほどの損失であれば、もちろんその他の商品が損失補填で売られます。換金性の高いものからその影響がでるでしょう。株式ですね。
もう一つは、今回の事態が今後にどう影響がでるのか?を精査しないといけません。流石に市場初の事が起こり、今後どうなるかわからないものに悠長にお金を出している場合ではありません。機械的にロールオーバーしたものの、一旦資金を引き上げて様子見に転じるのが通常ではないでしょうか?
という事で、原油価格は下がっているのだと考えます。
となると引き上げた資金は現金としておいておくのではなく安全資産とされる円やスイス・フランに向かう可能性があります。円高になる可能性が高いという事ですね。
結果、日本の株式市場にはファンドの株式の売却と円高という重しになる可能性があります。
まとめ
ということで、新型コロナ問題は日常生活の停滞をもたらし原油価格にも大きく影響を与えました。
そして、市場初の原油先物マイナス価格がファンドの運用にダメージを与え、株式市場に悪影響がでてくると考えます。
ただ、株価はそれだけで決まる訳ではありませんし、日本には日銀の買い支えがあります。黒田さんを信じましょう(笑)
ちなみに、原油価格の解説をしているストゼロちゃんは、知る人ぞ知る「金融社畜系アイドル よしまい」です。
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